今だからこそ「銀(シルバー)」の魅力を、改めて伝えたい

中島将太
Beyond Cool キャッスル エリアマネージャー 中島将太

今や我々の生活に自然と溶け込んでいる「銀」。
アクセサリーとして、また食器や電子機器などの日用品や医療器具として。

普段特段意識はせずとも、私達の生活のいたる所に当たり前に存在しています。
マテリアルとしてスタンダードになった現代で、もう一度「銀」というものを振り返りたい。
いや、それを伝えていく事こそ私たちシルバーを取り扱う側に課せられた使命だ、と壮大な感情になったりならなかったりします。
この記事を最後までお読みいただいた後、読む前に比べて貴方の「銀への興味」が圧倒的に増しているという願いを込めて。

人類は数千年前から銀に恋をし、信仰していた

まずは銀の歴史的背景から伝えなければなりません。
シルバーアクセサリーの歴史は、ブームやファッションより遥かに古いです。
紀元前の古代メソポタミアやエジプト時代から、人々は銀を加工し、身に着けてきました。
腕輪・指輪・首飾り。この時代では権力・信仰の象徴の意味合いが強いです。
時には銀が希少過ぎて、金よりも貴重とされた時代です。

画像:Louvre Museum, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
画像:tutincommon (Mr. John Campana), CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

 

西洋の錬金術の世界では、銀は「月」の象徴でした。
太陽が金なら、月は銀。
闇夜を静かに照らす光と同じ色を、人々は身に纏っていました。
満月の夜に銀貨を月にかざすと金運が上がるとの言い伝えがありました。

画像:Joseph Wright of Derby, Public domain, via Wikimedia Commons

 

また銀には昔から不思議な伝承が付きまといます。
吸血鬼や狼男を退けられるのは、銀製の十字架や弾丸。
「銀は邪気を祓う」という進行は古来から、今現代でも世界各地で根付いています。
また実際に銀には抗菌作用があり、古代の人々は水や食べ物を銀の器で保存していました。
迷信と科学が重なり合うこの金属は、「身を守るお守り」としての意味を古くから担ってきているのです。

日本もまた、16~17世紀に世界有数の銀産出国だった事から「銀の国」と呼ばれていた背景があります。
技術の発達で島根・石見銀山の産出量が一気に増え、最盛期には世界の銀産出量の約3分の1を日本が占めたとされています。

画像:Naokijp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

実際に、16世紀の地図には日本が「銀の島」と記されています。
この時代に世界で産出が急増し、銀細工というものが一般にも広がっていきます。
イギリスでは銀の純度基準が定められ、現在のスターリングシルバー(SV925)の定着はここ発祥です。

始めは魔除けや象徴として使われてきた銀が、時代の流れと共に日常の装いの一部になった、というのが大きな流れです。

育てる楽しみ

歴史的な事はここまでにしておいて、実質的な銀の魅力を改めて伝えます。
最大の魅力は何と言っても「経年変化」これに尽きます。

新品の銀、我々のお店で並べているものは冴えた白い輝きを放っています。
それを身に着ける事により、空気や肌の油分に触れ少しずつ燻され、黒みを帯びていく。
傷も、くすみも、全てがその持ち手だけの歴史になります。
磨けば蘇り、逆にあえて残せばそれが「味」になる。
同じ作品でも、5年後10年後には言わば「1点モノ」と呼べる程に世界に1つだけの表情になります。

下記画像はGOD SUNSのフェザー。左が新品、右が私の愛用している約1年使い込んだ私物。


全く違うアイテムになっています。
エイジングの風合いと共に、フェザーの細かいスリット1つ1つに陰影が出て絶妙な雰囲気を湛えるまでに「育ち」ました。

キレイな状態だから悪い・経年変化した状態だから良い、という事ではないです。
定期的に磨いてキレイな状態で着用した方が良い作品もあれば、エイジングさせてこそ渋い味が出る作品もあります。
ちなみに銀は金属の中で最も光の反射率が高く、磨き上げた銀はプラチナよりも明るく輝きます。
両極の良さがある銀をどう楽しむかは持ち手次第です。

そのブランドや作品自体の特徴に合わせて。また持ち手がどう使いたいかに合わせて。
大切なのはそれが自分の中で「良い」と思えるか思えないか。
金やプラチナでは決して出せない自分だけの個性表現を、銀は叶えてくれます。

手に届く本物

金やプラチナが憧れの存在なら、銀は日常に寄り添う本物と呼べます。
作品の多くに用いられるシルバー925(純度92.5%)や950(純度95.0%)は、素材としての品格を持ちながらも
気負わずに手に取れる価格帯が多い。
だからこそ、アクセサリーを「ただの装飾品」ではなく「自分を表現するツール」として楽しめるのです。

今や世の中のシルバーアクセサリーブランドの数は本当に多岐に渡ります。
好きなデザインか、そうでないか。選択肢が増えれば増えるほど、その視点で判断をしがちです。
だからこそ、「そもそもシルバー自体が好きなんだ」と、私物アイテムを眺めながら原点回帰するのもたまにはいいものです。
1つの作品から滲み出る作り手の想い。それを汲んだ上で、自分ならどう着けようか。どう自分の日常にプラスしようか。
そう考えながら目移りしつつも1つを選ぶのが、お買い物の楽しみですね。お店に来てくださったお客様のそんな様子を見ていると、こちらも嬉しくなります。

私が考えるシルバーアクセサリーの魅力は、決して見た目で分かる輝きそのものではなく、
「自分だけの色に、自分だけのものになっていく過程」を楽しむ事です。
ピカピカに維持して何年も着用する事も、手入れを最小限にして自分だけの歴史を作品に刻む事も、どちらも銀を持つ魅力であり楽しさです。

そして、私達が取り扱うブランドの作品達はそのお手伝いが大いに出来ると確信をしています。

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