あなたが今、首から下げているそのシルバーペンダント。
なぜそれを選んだか、覚えていますか。
形が好きだったから。
誰かに勧められたから。
あるいは、何かを守りたかったから。
理由はそれぞれでいい。ただ一つだけ、確かなことがあります。
あなたは「意味」を身につけたかった。という事実です。
1999年、日本にひとつのブランドが生まれました。
名前はBloody Mary(ブラッディマリー)。
以来26年間、このブランドはずっと同じものを作り続けています。
「身につける人のお守りになるジュエリー」を。
この記事では、ブラッディマリーが26年間貫いてきた哲学と、その物語の系譜をたどりながら「アクセサリーを身につける」という行為の本質について解説していきます。
目次
1999年、原宿から始まった異端

ブラッディマリーは1999年、数名のプロフェッショナル集団によって立ち上げられたシルバーアクセサリーブランドです。
誕生の背景には、90年代日本のシルバーブームがありました。
ストリートファッションの勃興とともに、若者たちがシルバーアクセサリーに熱狂した時代。
しかし、その多くは「流行」として消費されるものでした。
ブラッディマリーは最初から、その流れに逆らって立っていました。
最初のコレクション名は「Silver Creature(シルバークリーチャー)」。
草木、鱗、爪、骨──自然の生き物をシルバーで表現するという、極めて根源的なテーマを掲げていました。
これは、奇をてらったものではありません。
大昔から人は、獣の牙に穴を開けて首から下げていた。鱗を身に帯びて、その力を宿そうとしていた。
ブラッディマリーのデザインとは、その太古の衝動をそのまま銀で彫り直したものです。
「お守り」という、揺るぎないテーマ

ブラッディマリーのコンセプトを、公式サイトはこう定義しています。
「自然の生き物を身にまとい、持ち手一人ずつの持つ意味を込めてお守りとする」
そしてデザインテーマは三つ。「自然」「信仰」「融合」。
自然界の生き物を忠実に彫り込む。そこに信仰的な意味を重ねる。そして、着ける人の物語と融合させる。
爪やウロコを「忠実に」仕立てることへのこだわりは、特に際立っています。
リアルな造形であるほど、身につける人の感動は深く長く続く──これがブラッディマリーの根本的な哲学です。
コレクションは、毎年一つのおとぎ話
ブラッディマリーには、独特の制作スタイルがあります。
発表される一つのコレクションに、必ず「コンセプトとなるおとぎ話」がある。
その物語に沿って、ジュエリーがデザインされる。
海、砂漠、樹海、火山、荒野、そして妖怪の世界──舞台は一年ごとに塗り替えられ、商品の一つ一つに、その世界の住人としての名前と物語が与えられる。
コレクションの系譜をたどることは、ブランドが26年間積み上げてきた物語の地図を読むことでもあります。
1999〜2001 SILVER CREATURE
ブランド処女作。コンセプトは「力強く、激しい」。鱗、爪、牙──生き物の素材をそのままシルバーに彫り込む、原始的衝動の造形。ヨガの経脈「スシュムナー」を彫り込んだペンダントが当初から人気を集め、「自然を身にまとい、お守りとする」というブランドの核が、ここですでに完成していた。
2002 MERMAID
人魚の世界。重み・厚み・ボリュームと、曲線・細かな彫金・燻しのグラデーションを高次元で共存させた。前作の荒々しさから一転、海の生命が持つ優雅さと表現力の広さをブランドが世界に示した。性別を問わず、26年後の今も支持を集め続ける名コレクション。
2003 SEA OF TREES ─過ぎ去るもの・訪れるもの─
樹海。前作の優雅さを継ぎながら鋭さを削ぎ落とし、海に咲く花・草をモチーフに温かさと柔らかさを纏わせた。荒野や海という「人が踏み込めない場所」を舞台にするブラッディマリーの視座が確立されつつあったコレクション。
2004 IN THE DESERT ─Return to Nirvana─
砂漠。モチーフは枯れ木、貝殻、化石、骨──砂漠に落ちていそうな原始的な素材群。「望む場所に辿り着くまでのお守り」として制作された。ニルヴァーナ(涅槃)への帰還という副題が示す通り、この荒野を歩く者には目的地がある。
2005 KINGDOM ─光の場所─
豊かな大地に生きる者たちの王国。動植物をモチーフに天然石をふんだんに使用し、光・緑・水・愛をデザインに宿した。荒野や樹海という「欠如の場所」を経た後に辿り着く「光の場所」──これはコレクションが一つの旅の物語を形成している証左でもある。
2006 MIDNIGHT ─真夜中の住人達─
真夜中の世界に棲む生き物たち。カラスの爪と翼、鯉、花びら──「今にも動き出しそうなほどリアルな動」の造形がテーマ。強さと重みを表現するため燻しを意図的に濃く入れた。夜の帳が下りた後にのみ現れる生命たちの、静かな威圧感をシルバーに閉じ込めた。
2007 WORLD ─spirit of wonder─
1999年から積み上げてきた全作品の集大成。「後世に語り継ぎたい記憶と記録、広がる文明と繰り返される生命の営み」。単体のコレクションでありながら、ブランドの哲学史そのものを一点に凝縮しようとした野心作。
2008 KAI ─怪・日本の異形たち─
「KAI」は「怪」。このコレクションの正体は、日本の妖怪・異界の存在たちをシルバーに彫り込んだ、ブランド随一のダーク&アニミズム的世界観だ。化け猫、蜘蛛、鬼、天狗──作品名はそのまま妖怪の名前であり、ピアス「蜘蛛・鬼・天狗」セットは今も人気を誇る。公式の形容詞は「極彩色で彩られた。上品なのに、いやらしく。艶っぽいのに、愛らしい。和でもなく、洋でもない。古くて、新しい」。この矛盾の束こそが、KAIの本質。
2009 ARCHIVE ─海から来たもの─
海の深層から引き上げられた記録。このコレクションで生まれたのが、ブランド史上最高傑作との呼び声も高い龍のペンダント「Birth(バース)」。龍が産卵するモチーフのこの一点は、その後26年間ブランドを代表し続ける。海を生命の起源と見立て、そこから生まれ出る存在を重厚な彫金で表現した。
2010 PRIMITIVE ─ADAM & EVE─
創世記。すべての始まりの物語──アダムとイヴ、楽園、原罪。聖書的世界観をブラッディマリーの有機的造形に落とし込み、善悪・光闇・男女の対立と融合を一点のジュエリーに封じた。西洋の神話的源泉に初めて正面から向き合ったコレクション。
2011 REVIVAL ─萌芽─
ノアの方舟。一度失われた世界でも命が宿り、繁栄と進化を繰り返し、やがて世界が生まれる。「全ての起源」を表現するコレクション。蛇を中心に蓮・鹿が躍動する「Thrive(繁栄)」ペンダント、アネモネに動物たちが集う「Advent(到来)」ペンダントは、いずれもファンから長く愛され続ける傑作。
2012 ARKADIA
ギリシャ神話に伝わる理想郷「アルカディア」。失われた楽園に生きた神々・精霊・生き物たちを銀で再構成した。神話の香気を纏いながら、どこか哀愁と諦念を帯びた美しさが支配するコレクション。PRIMITIVEが「始まり」なら、ARKADIAは「失われた完璧」への眼差し。
2013 MEMENTO MORI
ラテン語で「死を忘れるな」。蜘蛛の巣が雨の水滴を纏った「Aranea(アラネア)ペンダント」が象徴するように、終焉に向かいながらも一分一秒を美しく生き抜く生命の輝きを表現した。「儚くも美しい」というMemento Moriの哲学は、ブラッディマリーが最も深く死生観に踏み込んだコレクション。
2014 DUAL ─The night & The day─
夜と昼、闇と光、対をなす二つの世界が一点のジュエリーに共存する。分割されたデザインが象徴するのは、相反するものが融合してこそ完全体になるという思想。半分ずつのデザインは、信頼し合った二人のように、単独でも成立するが、合わさることで完成する。
2015 VOLCANO ─炎の山に棲むもの─
火山。灼熱の溶岩が流れる極限の地にも、なお命は宿る。火食い鳥、炎の虫、火口に生きる植物──高温の核を宿したモチーフが並び、これまでのコレクションになかった「熱量」と「危うさ」がデザインに加わった。
2016 WASTELAND ─禁じられた荒野─
禁断の荒野。文明から切り離された土地に棲む生き物たちの、原始的な生命力と孤独。荒廃の美しさと、そこにしかない純粋さを銀で写し取った。IN THE DESERTの「旅人のお守り」から一歩踏み込んだ、荒野そのものへの眼差し。
2017 JUNGLE ─HIDE & SEEK─
密林。捕食するものと逃れるもの、命と命の「かくれんぼ」。JUNGLE(Nelli)ペンダントは密林に自生する治癒効果を持つ薬草をモチーフにし、Hunter(狩人)ペンダントは「目に見えない何かに守られているような安心感」を与える作品として設計された。豊かな熱帯の生態系が、緻密な彫金で一点一点に閉じ込められた。
2019 SENSE OF WONDER
ブランド20周年記念コレクション。「今、あなた自身がこのコレクションの主人公」。これまでのコレクションが「本を読む」感覚なら、このコレクションでは読み手自身がストーリーへと変わる。自分の日常を冒険に変える感覚──センス・オブ・ワンダー──を呼び覚ます。
2020 CIRCUS
サーカス。薄暗い森の中、耳を澄ませば陽気な音楽が聴こえてくる。テントの中に待ち受けるのは「語り部(Teller)」「曲芸師(Acrobat)」「恐竜使い(Dino)」「戦士(Warrior)」「巨人(Titan)」「道化(Clown)」「綱渡り師(Rope Walker)」「奇術師(Magician)」「野生の者(Wildling)」「骸骨(Skeleton)」──異形の者、規格外の者、人外の者たちが、等しく舞台に立つ。「種族・文化・能力・個人の差異から生まれる美しい個性」という哲学がコレクション全体を貫いている。追加公演「FINALE」では幕開け(Dawn)と幕引き(Curtain)が加わり、この物語に始まりと終わりが与えられた。
2021〜2023 ABSOLUTE ─独創的思想─
ブランドが自らの哲学を改めて宣言した「起源(ゼロ)」の表現。2023年に完結し、一つの結末を迎えた。3年間にわたる異例の長期コレクションは、REVIVALが「生命の始まり」を描いたとすれば、ABSOLUTEは「創造行為の起源」そのものへの問いだった。
2024 ELEMENTAL SKY ─忘れられない夢─
25周年記念コレクション。コンセプトの核心は「夢」──夢のように不確かで、危うく、それでいて忘れられないもの。ストーリーは三幕構成。「忘れられない夢」「夢の続き」「夢の理由」。山道を登り、木々の隙間から空を仰いだとき、渦を巻く雲の中から「この世のものとは思えないモノ」が現れ、やがて不鮮明になり消える。目が覚めても匂いだけが残っている──そういう夢の話だ。登場するのは「シルフ」。花の蕾のような頭を持ち、芍薬を身に纏い優雅に舞う。神か悪魔かわからない。現実を超越している。夢の中にだけ現れ、覚醒とともに消えていく存在。それがシルバーアクセサリーになった。
2026 STELLA POLARIS ─星の輝き─
最新コレクション。ラテン語で「星の輝き」。悩みや迷いを抱えた人がいつの間にか辿り着く、細い路地の奥の、地図にはない一軒の宝石店。そこで手に取ったジュエリーは進む勇気をやさしく与え、身に着ける人それぞれの物語の道しるべとなる。蛇が絡み合い宝石を抱く「Six(シクス)リング」など、静かに光る作品群が26年目の物語を紡いでいる。
熟練の職人が織りなす、卓越した表現力
美しいコンセプトは、それを形にする技術なしには成立しません。
ブラッディマリーが27年間守り続けてきたもう一つの核心は、「熟練した日本の職人による手仕事」です。
一点一点のジュエリーは、シルバーアクセサリーに精通した職人の手で、大切に作られています。
ウロコの一枚一枚。爪の先の曲がり。花弁の肉厚と薄さ。
これらを銀で正確に表現するためには、高度な彫金技術と、生き物への深い観察眼が必要です。
その特有な有機的な造形の美しさ。手に取った瞬間に感じる「生きているような」質感。
それが、ブラッディマリーのジュエリーを、他のシルバーアクセサリーから明確に隔てるものです。
KONRON──Bloody Maryが生んだ妹

2004年、ブラッディマリーに姉妹ブランドが誕生しました。KONRON(コンロン)です。
ブラッディマリーで表現するには「可愛い」になるモチーフ──蓮、蝶、組紐、水引──を、KONRONが受け持つ構造です。
メインのブラッディマリーが持つ力強さと、KONRONの繊細な美しさ。
この二つが並ぶことで、このブランドの世界観は男女を問わず広がりを見せています。
ブライダルコレクションの展開も、その延長線上にあります。
アクセサリーが「お守り」であるならば、結婚という人生の節目に纏う一品ほど、その意味を深く宿すものはありません。
2つの実店舗──店そのものが、世界観の続きである
ブラッディマリーの直営店は現在、東京・原宿と大阪・心斎橋の二か所に構えられています。
ただ、「店がある」という話ではありません。
この二店舗は、ジュエリーを置くための場所ではなく、ブランドの世界観そのものを立体化した空間として設計されている。それが最大の特徴です。
公式サイトに繰り返し記されている言葉があります。
「店装・雰囲気もブランドの世界観を重視した異世界空間を楽しんでいただけます」
ショーケースの中身だけでなく、店内に足を踏み入れた瞬間から、すでにブラッディマリーの物語が始まっている。そういう設計です。
心斎橋店──大阪の商店街に潜む、ブラッディマリーの異界

大阪・心斎橋筋商店街。賑やかな往来が続くその一角、ビヨンクールキャッスルの2階に、Bloody Mary 心斎橋店はあります。
2002年のオープン以来、この店は変わらず「路面店だからこそ可能な世界観の演出」を貫いています。
エレベーターを降り、奥へ進む。その瞬間に、商店街の喧騒は背後に消える。
ショーケースに並ぶのは、26年分のコレクションから選び抜かれた作品たち。
生き物の鱗、爪、花弁、骨──自然の造形をそのまま銀に写し取ったそれらは、照明の角度によって表情を変え、ガラス越しに見るだけでは気づけない細部の彫刻が、手に取った瞬間に初めて姿を現す。
店内には「隠れキャラ」も潜んでいます。ブランドの世界観を店装の細部にまで仕込むという姿勢の、最も遊び心のある表れです。
ビルの地下1階にはバー「Bible Club」──1920年代のアメリカ禁酒法時代の潜り酒場を完璧に再現した世界的バーの、日本唯一の姉妹店(世界2号店)があります。
上で銀の彫刻に触れ、地下でレアなバーボンを傾ける。心斎橋のこのビルは、一棟まるごとで一つの体験を作っています。
Bloody Mary 心斎橋店
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-1-11 2F(ビヨンクールキャッスル内)
TEL:06-4708-1205
11:30〜20:00(不定休)
原宿店──東京・神宮前に立つ旗艦

東京側の拠点は、Bloody Mary 原宿店。
東京都渋谷区神宮前、神宮前Tビル1F。ブランドの「FLAGSHIP SHOP」として位置づけられています。
原宿という場所が持つ意味は、小さくありません。
日本のストリートカルチャーが世界に向けて発信されてきた街。90年代にシルバーアクセサリーブームが火を噴いた、震源地の一つでもある。
その神宮前に、Bloody Maryは最初期から店を構え続けてきました。
原宿店もまた、心斎橋と同様に「店装そのものがコレクションの延長」として設計されています。
新コレクションの発表は原宿店での先行販売から始まることも多く、ここで世界観を最初に体感できるという意味で、ファンにとって特別な場所です。
Bloody Mary 原宿店(フラッグシップショップ)
東京都渋谷区神宮前3-21-19 神宮前Tビル 1F
TEL:03-3401-2881
11:30〜20:00
なぜ、実店舗でなければならないのか
ブラッディマリーのジュエリーは、写真では半分しか伝わりません。
シルバーアクセサリーは、質量の芸術です。
手に取ったときの重さ。ひんやりとした銀の温度。彫刻の谷に落ちる光の影。指を通した瞬間に骨に当たる感触。
そしてブラッディマリーのジュエリーには、もう一つ特別な体験があります。それは「コレクションの世界観の中で見る」という体験です。
海のコレクションなら、店内の空気まで海の物語を纏っている。砂漠のコレクションなら、荒野の静けさが漂っている。
ショーケースとインテリアと照明と、スタッフとの会話が、全部で一つの「世界」を作っている。
その世界の中でジュエリーを手に取る。それが、ブラッディマリーの実店舗における体験の本質です。
https://www.j-connection.jp/blog/15694/?preview=true
10万年前の狩人が仕留めた獣の爪を、炎の光の中でじっと見つめながら意味を見出したように、あなたもこの空間の中で、一点のジュエリーに自分だけの意味を見つける。
それが、ブラッディマリーの店というものです。
ジュエリーコネクション──正規品を、画面の向こうへ
実店舗に来られないすべての人のために、正規オンラインストアジュエリーコネクション(Jewelry Connection)があります。

ブラッディマリーはその人気ゆえに、フリマアプリや非正規ルートでの偽物が市場に存在します。
正規販売企業であるビヨンクールが直接運営するジュエリーコネクションで購入することは、真贋の保証そのものです。
また、オンラインで貯まるポイントは実店舗でも使用でき、その逆もしかり。
ECと実店舗が一つの円環として設計されているのも、このブランドの誠実さの表れといえます。
26年間、変わらないもの
ブランドというのは、長く続くほど試練に晒されます。
流行の波に乗る誘惑。コストを下げる圧力。拡大路線への期待。
それでもブラッディマリーは、ずっと同じことを言い続けています。
「ジュエリーが身に付ける人のお守りになるように」
1999年に掲げたこのテーマは、2026年の《Stella Polaris》でも変わらず息づいています。
迷いを抱えた人が、いつの間にか辿り着く不思議な宝石店。そこで手に取ったアクセサリーは、進む勇気をやさしく与える。
これは、商品の説明ではありません。26年間、銀に祈りを彫り込んできたブランドの、哲学の言葉です。
あなたの「お守り」は、きっとここにある。
Bloody Mary(ブラッディマリー)公式サイト
https://bloody-mary.jp/
オンラインストア / ジュエリーコネクション
https://www.j-connection.jp/c/brand/bloodymary